2013年6月24日月曜日

日本酒の試飲会 Saké tasiting

先週の金曜・土曜と二日続けて、パリで日本酒の試飲会がありました。バスティーユ地区の建物を借り切ってのわりと大掛かりなイベントでした。
日本酒はワインとはまた違うものとはいえ、日本でだいぶ飲んできたので、味もだいぶわかるようになったかな〜という自負のもと、結構楽しみ。

ちょっと遅れて午後4時近くに到着。金曜日だったので意外とすいてる感じ。
でも、地下に下りると、人がもっと多くて熱気が感じられました…っていうか、暑かった!
パリで本格的な日本酒が買えるところとしてISSE WORKSHOPさんが有名ですが、こちらのスタンドはやはり美味しいお酒が揃っていました。
中でも印象に残ったのは、日本でちらっと噂に聞いた「花薫光」(須藤本家)。なんでもロバート・パーカーが点数をつけてるワイン・ガイドの中で、日本酒としては唯一記載されているものなのだとか。香りは力強く華やか、口に含むと複雑で広がりがあり、スケールの違いが感じられました。スタンドの方にそういう感想をお話ししたら、「さっき試飲された方は、『口の中がディスニーランドになった』と言ってました」とのこと。うん、なんとなくわかるー。
それと「まんさくの花」(日の丸醸造)の「百年前」というお酒。名前の通り、蔵で見つかった資料に従い、百年前の製造方法で造ったお酒だそうです。
古酒のような酸化の風味が若干ありつつ、椎茸のようなキノコの味わい。スタンドの方には「カビっぽいということでしょうか?」と心配されてしまいましたが、いや、カビとは違って(カビとネズミには敏感なので断言できます)、菌糸類という感じ?旨味を出す菌糸類です。おもしろーい。

そして一階(日本式二階)では、仕切られた小部屋でカンフェランスなども行われていて、充実しています。
スタンドもいくつかあって、その中で、ラインナップが豊富なうえ、見覚えのあるお酒が並んでいる、とっても気になるスタンドが! 
オランダのインポーターさん「酔い心地」さん。こちらの責任者、ディックさんは日本語ペラペラ、しかもちょっぴり京都弁。 お話をしてみたら、なんと京都で私たちがとてもお世話になった酒屋さんをよくご存知とのこと。いやぁ〜〜、なんかつながるなあ!すごい!
もう一度飲みたかった「無手無冠」を飲ませてもらいました。やっぱり好きだー!と再認識。(以前飲んだときの印象はこちら。)
一階はガラス天井で明るく、あまり人がいなくて居心地よかったです☆

全部回りきれなかったのですが、そろそろ疲れたから帰ろうかなーという頃に外に出たら、建物の前で和太鼓パフォーマンスをやっていました。

かっこいいー!私も和太鼓やりたいー!なんて思ってしまった。

そういえば音楽祭の日でした。実は近年、街中が「何でもかんでも」な雰囲気の音楽祭があんまり好きではなくなってきているのですが、こういう驚きに出会えるのは良いですね。帰路、胸の中でずっとドンドコドンドコ響いていました。

2013年6月20日木曜日

今日のワイン : L'Anglore (Eric Pfifferling) "Chemin de la Brune" 2011

南仏のワイン学校で一緒だったCが、「仕事でパリに来た」との連絡をくれ、久しぶりに会いました。私はお休みの日でしたが、うちのワイン屋で待ち合わせ。

Cはロゼワインで有名なタヴェル出身で、学校へ通っていた当時、みんなをタヴェルのワイン生協に案内してくれたりしました。実家の周辺にもワイン生産者がたくさんいるそうで、お店でも「あ、このワインの生産者の醸造所はうちのすぐ裏だよ」なんて教えてくれたりして、おもしろかったです。本人も「近所の知り合いのワインをパリの小さなワイン屋で見つけるなんて、なんだか変な感じ〜」と笑っていました。こちらも、そのワインとの距離が急に近くなったみたいで嬉しかったです。
店主がテイスティング用にとっておいたワインを開けてくれて、それを飲んでいたらついつい長居。日が長く、外はまだ明るくて、時間を忘れてしまいます。気がつけばもう9時。閉店を手伝ってから、ご飯を食べにケヴィンの店「オトゥール・ダン・ヴェール」へ。(いつも同じところばっかり行ってます…。)

さてここでは何を飲もうか?とワインメニューの黒板を見たら、一番上にタヴェルのエリック・プフェーリングのワインが。Cはエリックのこともよく知っているそうで、本当はワイン学校へ行っている間に醸造所を案内してもらう予定だったのに、なかなか都合が合わず、実現せずじまいでした。そんなことを思い出しつつ、「今日はこれだね」と即決。
「シュマン・ド・ラ・ブリュンヌ」2011年。
口に含むとねっとりした感じがあり、味わい深いロゼ。樽熟成のヴァニラっぽい風味で、まろやかさと重みがあり、つまみを食べながら飲むのにちょうど良い感じ。
夫は「うーん、山羊のチーズが食べたくなった!」と、迷わず前菜にオーブンで焼いた山羊のチーズ。ワインを先に決めてしまってから食べるものを選ぶと、選択肢がだいぶ狭まりますが…私はマリアージュ度外視でただ食べたい直感で豚の肩ロース肉をメインに。ちょっと脂身多めなお肉ですが、それでもこのロゼは負けてない。
ラングロールのワインはうちのお店に入ってないので、飲んだのはすっごい久しぶりでしたが、やっぱり美味しかった!

2013年6月11日火曜日

週末のテイスティングいろいろ

春先から夏にかけて、フランス各地で試飲会が多く催されます。地方で大きな見本市もありますし、パリではワイン屋さん主催のものなどもあります。
私は4月下旬まで日本に行っていたので、ずいぶん逃してしまいましたが、6月に入ってから二週続けて週末にテイスティング会があったので挽回すべく(?)行ってきました。

まずはインターネットのニュースサイト、RUE89(リュー・キャトルヴァン・ヌフ)主催の試飲会。このニュースサイト付属のワイン・ブログ(「No wine is innocent」)が添加物のないワインを話題にしているので、集まった生産者さんたちも自然派ワインの人ばかり。
会場はパリ20区の「La Bellevilloise(ラ・ベルヴィロワーズ)」。
この場所はもともと「生産者から直接買い、消費者へ直売」という理念のもとに建てられた生協の建物だったようです。
試飲会は6月2日、3日の二日間。ニュースサイトなのでよく知られていたせいか、2日の日曜日はものすごい人でごった返していました。私は両日とも午後から出かけましたが、月曜日に後から来たうちの店主のもらったグラスが私のと違うので「変だな?」と思ったら、なんと入場者数が予想を大幅に超えたため、用意していたロゴ入りグラスが足りなくなったのだそうです。
これがRue89ロゴ入り、リーデル社のグラス。
ちなみにグラスは持ち帰りOKなので得した〜♪
…と思ったら、大きくてうちの食器棚に入らない…。

月曜日の午後いち。
まだ人が少なくて余裕〜。

でもやっぱり段々人が増えてきた。
月曜休みのレストランやワイン屋関係の人が多いみたいでした。

この場で買うこともできて、生産者さんによっては一般で買うより安かったようです。でもうちのお店で買えるものが多いし、持って帰るのが大変そうなので、私はテイスティングに没頭。車で来てたりしたら、ついつい買い過ぎちゃったりするのかも。そういう私も、結局、サヴォワの生産者、ジャン=イヴ・ペロンの「ヴェール・メゾン・ルージュ」(ガメイだと思い込んでいたのですがモンドゥーズだそう)はどうしても欲しくて、店主がもう注文してあるらしいけれど、追加で送ってもらうように頼み込みました。でも、もしかしたらもう彼のところにも在庫がないかも、だって…。なかったらお店に届いたものを買い占めちゃおうかな。ジャン=イヴ・ペロンの他のキュヴェもみんな美味しかったです。さすがに人気があって、彼のスタンドはいつも人だかりでした。
反対に、美味しいのに人が全然いなかったのはアルデッシュの生産者、アンドレア・カレックのスタンド。だって、アンドレア自身がいないんだもの…。何してるのかなと思ったら、その辺をぶらぶらしていた。そうは言っても、話すと気さくで憎めないタイプ。マイ・ペースで面白い人です。
印象に残ったのは、ボジョレの生産者、ペロー夫妻(ドメーヌ・デ・コート・ド・ラ・モリエール)の白ワイン。ボジョレでは珍しいソーヴィニョン種のワインと、これも珍しくビール樽で熟成させたワイン(たしか二つは別物だったと思うのですが…どうだったかな?)。そういう説明を受けたせいか、なんとなくビールっぽい苦みがあるような気がしました。
個人的な買い物は、アルザスの生産者、リエッシュのワインをいくつか。去年の夏、ヴァカンス先で見つけて、価格と質のバランスがあまりに良いのでたくさん飲みました。今回、試飲した中で気に入ったのはシルヴァネール種のヴィエイユ・ヴィーニュ。樽で熟成させる間、少し空気に触れさせているそうで、酸化熟成の風味が味に深みを加えています。
Domaine Rietsch "Vielle Vigne Sylvaner" 2011
シルヴァネールは、アルザスの他の品種に比べて香りが控えめで、うまく造らないと平らでつまらないワインになってしまうようですが、リエッシュのこのキュヴェは香りもしっかりあって美味しかったです。

その後の金曜、シチリアのフランク・コーネリッセンの新酒ワインの試飲会。インポーター氏の自宅にて。
インポーター氏の知り合いがほとんどで、少人数のくつろいだ雰囲気。生産者のコーネリッセンさんともいっぱいお話できて(ワインにあんまり関係のない世間話ばかりしてしまいましたが…)、ワインをゆっくり味わえて、貴重な試飲会でした。
ロゼの「ススカル」の新しいヴィンテージ(2012年)は、どちらかというと「え、これ、赤じゃないの?」という色でしたが、とっても美味しかった。お気に入りです。それと、実は初めて飲んだ上級キュヴェの「マグマ」(2011年)。香りは力強いけれど、口に含むと上品できめ細かく、後口も長い。タンニンの強い骨太なワインかと勝手に想像していたので、こんなにエレガントなのかーとびっくり。一応、遠慮した…つもりですが、つい二度も三度も手が出てしまいました☆

そして8日の土曜日。店主は朝から娘の学校関係の催事に参加して不在。昼過ぎに電話がかかってきて「これから他の生徒の親とランチして、その後、ヴィニサットの試飲会行くから、夕方5時くらいに行く」との連絡。まあ、彼のことだから5時は無理、6時くらいかな…と思ったけれど、待てくらせど来る気配なし。7時を過ぎて「これはもう来ないな…」と諦めモードでいたら、案の定、8時近くに「あーごめんねー、つい長居しちゃってさー」と電話がきて、呆れつつ「はいはい、そんなことだろーと思ってましたよ、わかってますよ、お客さんからも『今日はもう来ないだろうね』って言われましたよ」と返事をしておきました。本人は心外だったらしいけど、常連さんもみんな店主のことをよくわかってるんだよね〜。しかし、忙しくなかったから助かったものの(お店には良くないことだけれども)、これで忙殺されていたら本気で恨んだな。
さて、ヴィニサットとは、レストラン「サテューヌ」がオープンしたワインの通販サイトで、そこが主催の試飲会がパリ16区で行われたのです。土曜日に引き続き、日曜も開催されたので、私も行ってきました。
もとは伯爵の個人宅だったそうで、今はイベント向けに貸し切りになる建物。階段とか絨毯とか、いかにも歴史があって高級そう。
そんな中、楽しげに飲んだくれる私たち。あはは。結局、周りの飾りとかはあんまり関係ない感じでした。
今回初めてジュラの日本人生産者、鏡健二郎さん(と、こういう漢字で良いのかしら?)にお会いしました。サヴァニヤン種の白ワインが、よくある辛口ジュラワインよりもずっと繊細なうえ、後からふくよかさがやってくる不思議な味わいで、印象に強く残りました。
そして、今回はしっかり仕事しているアンドレア・カレックにちょっとウケた。でも持て余し気味な感じで、終了近くなった頃には「もう疲れたよ〜」と言っていて同情。彼の発泡白ワイン「ブロンド」と、うちのお店で扱っていない大岡弘武さんの赤ワイン「ル・カノン」を買って帰ろうとしたら、売り切れ…。がーん。やっぱりこういうのは早めに手を打っておくべきなのね。
それでも4本購入。おまけでコットン・バッグをもらっちゃいました。

色々なワインをテイスティングできたうえ、ワイン関係の友人知人に会えたりお喋りできたりして、本当に楽しかった!
あ〜、早くまたこんな試飲会があれば良いのになーー。