2021年6月4日金曜日

追悼 オリヴィエ・ルマソン

 ワインの仕事を辞めてからずいぶん経ちますが、今でもワイン業界の友人知人とは交流があり、ワインから完全に離れてしまったようにはあまり感じていません。


なので、今週、オリヴィエ・ルマソンの訃報を聞いたときはかなりショックでした。


正直に言って、一時、展示会で試飲したときにちょっとがっかりして、しばらく彼のワインを飲んでいませんでした。昨年、以前働いていたワイン屋に買い物に行ったときにオススメされ、そのときは結局買わなかったのですが、また美味しい彼のワインが飲める、と、楽しみに思っていました。そんなさなかに彼の訃報。自死だったそうです。


ワイン屋で働き始めた頃に一度だけ開催された試飲会に来てくれていた。支払いのやりとりで少しおしゃべりしたこともあった。それよりも前にまだ客としてお店に行っていたとき、配達に来ていて、うちの夫が彼と一緒に飲んで世間話をしたことを覚えていた。

それに、ネゴスで作ったワインを手頃な価格でリリースしてくれるので、ありがたかった。たくさん飲んだ。赤のプティ・ルキャン、Rシリーズ、シュヴィーユ・ド・フェール、ポワーヴル・エ・セル、白のル・ピュイ、発泡ロゼのポウ・ブロップ・ウィズ…。ボワ・サン・ソワフとソワ・ミニヨンは飲む機会がなかったっけ。

彼のワインがもう飲めないのが悲しい。

そして、もし経済的な問題が絶望に加担していたのだとしたら、社会にそれを救えるシステムがなかったことが悲しい。


数週間前にも別の生産者が同じように亡くなりました。霜被害の後のことでした。それが原因かどうかはわかりません。


フランスでは、農業従事者の自殺は長年の問題になっています。昨年の統計では1日に一人自殺している計算です。


しかし、もしオリヴィエ・ルマソンがとても苦しみ、状況からなんとか脱したくても他に解決方法がなくて、やっと安堵に身をまかせることができたのなら…

せめて今は安らかに、と願います。


Reposez en paix...