2020年3月18日水曜日

国際唎酒師(フランス語)の試験のこと

かなりのご無沙汰でございます!
ここ五年ほどワイン業界からつかず離れず…という生活になっておりますが、今度は日本酒に関わることになりそうです。

というわけで、先月(2020年2月)、日本に一時帰国した際に国際唎酒師の試験を受けてきました。
国際唎酒師について、ネットで検索すると体験談などが少なく、そんな中でこの試験を扱っているブログがとても為になったので、私も少し書いてみようと思った次第です。

今までにも度々、日本酒輸入業者さんのお手伝いなどをしており、それなりに日本酒のことは本を読んだりネットで調べたりしていましたが、仕事にするとなると、お客さんに対する信頼性を得るために具体的な形で提示できる資格らしきものを取っておいた方が良いのではないか…とふと考えたのです。

そんなことを思いついたのが帰国の1ヶ月半ほど前。色々調べて、国際唎酒師の試験を受けることにしました。ちょうど帰国滞在期間中に受験できる日があったのと、フランス語で受験できるということで決めました。

国際唎酒師は日本語以外でのみ、受験できます。
英語で受ける方が大半のようですが、中国語受験者も多いようです(多分、前者の多くは日本人、後者は中国人?…と推察)。その他、フランス語、スペイン語、韓国語で受けられます。

流れとしては、公式テキストがあるのでそれを購入して自習。あとは受験。
受験申し込みと公式テキスト購入は、国際唎酒師(Sake Service Institute International)のHPからできます。
私はフランス語テキストを購入し、パリのアパートまで郵送してもらいました。EMS便(フランスに入るとクロノポストの取り扱い)で送っていただき、はやばや到着。
田舎暮らしなので、上京してパリのアパートで実際にテキストを手にしたのが試験日のちょうど1ヶ月前。

たしかネットで見た意見では「2度読めば受かる」と書いてあったなー、1ヶ月でなんとかなるだろ〜…とタカをくくっていたのですが、テキストを開いてみると歴史や原料についてなど、情報が意外と豊富。んん??と引っかかって、もう一度ブログを見直したら「最低2回は読んだ方が良い」の間違いでしたー!はは。

個人的には、日本酒の醸造過程や原料についてなど、興味があって本や雑誌を読み散らかしていたので、内容についてはそれほどハードルは高く感じませんでした。
言語については、ワインもフランス語で学んだ経験があるので大丈夫でした。ですが、英語で受けたらどうなのかは、ちょっとわかりません。(実は受験申し込み手続きの時に手間取って、うっかり英語受験で申し込んでしまい、焦った!事務局の方にはご迷惑をおかけしました。)
過去問が英語だけなので、それをやってみたときは、やはり解くのに時間がかかりました。
でも、自分が受ける言語のテキストを読んでいれば大丈夫だと思います。
一部記述があるので、そこは語学力がそれなりに必要になるでしょう。

準備としては、テキストを4回くらい読んで(3回目からちょっとうんざりしてきた)、国際唎酒師の過去問をやってみたり、唎酒師(こちらは日本語)の過去問をやってみたり。あと、テキストを手にするまでの間、日本酒サービス協会が出している100円ガイドブックシリーズKindle版を購入して読みました。公式テキストと比べると、もうちょっと大雑把ですが、内容はほぼ同じで、さらっと読めます。日本語で内容をつかんでおくのに便利です。

試験内容は、一次(酒類をはじめ飲食全般における基礎知識)、二次(日本酒に関する専門知識)、三次(日本酒のテイスティングを通じたセールスプロモーション策定およびサービス知識)とあり、各50分ずつ。(※ 2020年4月より変更になるようです。)
それぞれを7割以上正解すると合格です。

実際の試験問題は、過去問と同じものが出題されていて、過去問をやっていれば傾向はつかみやすい感じです。
数字もなるべく頭に入れておいて正解でした(酒粕に含まれるアルコール度数とか)。
一次試験の時、問題数を数えてみたら全部で40だったので、計算してみると12個間違えても良いってことじゃない?(7割正解しなければいけないので、逆に言うと3割まで間違えて大丈夫ということ)と思ったら、すごく気が楽に。ただ、記述形式のものはどのように採点されるのかわかりません。
ちなみに記述は、一つのことに対して三つ挙げよ、というものが多かったです。(例えば「酒造好適米の条件を三つ」とか、「兵庫県が酒造の地として有名になった理由を三つ」とか、「一升瓶をサービスするときに大事なことを三つ」とか。)

フランス語での受験でしたが、過去問と比較して、多分、他の言語でも内容は変わらないのではないかと思います。

私はテイスティングが一番不安でした。
フランス在住でなかなか日本酒を飲む機会がないし、タイプ別を意識して飲んだことがないということと、ワインを勉強していた時からテイスティングの語彙力に自信がないということで、この点でちょっと悩みました。
ちょうど2日前に唎酒師説明会があり、そのなかで日本酒タイプ4種類のテイスティングがあるというのでそちらに参加し、これは勉強になりました。
あとはテキストに出てくる具体例・語彙を参考に。
実際の試験では、香りを表現する問題の時、「野菜などの食べ物の名で表せ」と指示されて、これにはちょっと参った…。サンプルは二つあり、一つは薫酒で香りが立つものだったのでなんとかなりましたが、もう一つが醇酒で香りが平坦…。青っぽい爽やかな感じもあったので、内心で用意していた「青竹」を使おうと思ったのですが、青竹は食べ物じゃないし!結局、ハーブ系でかわしました。

そして、結果は2週間後ということで、つい昨日、メールで受け取りました。無事、合格。

2020年4月から内容が変更になるということなので、結局、この体験談が参考になるかどうかわかりませんが、まあ一例として。
説明会で聞きましたが、7割正解できれば合格なので(日本語の唎酒師もこの点は同じ)、それほど難しくはないけれど、落ちる人もいます。でもそういう人は「忙しくてテキストを読む時間がなかった」という場合が多いそうです。なので、テキストを読んで過去問をやっていれば大丈夫、という感じです。


内容にあまり関係ない写真ですが。
今回の一時帰国中に飲んだ日本酒の中で一番印象的だったお酒、玉櫻の熟成。
出汁を飲んでるみたいな味わいでした!
京都のよらむさんにて。

0 件のコメント:

コメントを投稿