2012年11月4日日曜日

今日のワイン:P-U-R "Château Gonflable" 2011

ストックを置いているお店の地下カーブがちょっと広くなり、店内の段ボールも少しずつ片付いて、お客さんにも「うわっ、整頓されてるね〜、どうしたの?」と驚かれる今日この頃。(ってか、以前ってそんなに散らかってたのか…?)夏の間は入荷が少なく、売れた分だけ在庫が減ったせいもあるのでしょう。まあ、それでも段ボールだらけなんですけどね。
「やっとそれなりに店内スペースが確保できてきたなあ」と安心できるのも今のうち、そろそろ各生産者から大量に荷物が届く季節です。そして、新しいワインがくると「どんな味なのかな〜」とわくわくしてしまいます。

今日のワインも、新着の中で気になっていたもの。
P-U-Rの「シャトー・ゴンフラーブル」。
もともとボジョレで自分のブドウからワインをつくっていたシリル・アロンゾがネゴシアン(ブドウ、またはワインを他生産者から買い、瓶詰めして自分の名前で売る形態)でやっているのがP-U-R。ちなみにP-U-Rとは「Production Unique Rebelle」(「反抗的で独自的なプロダクション」とでも訳しましょうか)の略らしい。また、purという語はフランス語で「純粋な」(英語のpureに相当)という意味。
この夏、休暇先のブルターニュで飲んだP-U-Rの「ヴァン・ド・ターブル」というのをすこぶる気に入ったので、このネゴシアンのワインにちょっと興味がわいていました。
しかも、このジョークめいっぱいのラベル!

いやね、駄洒落やジョークを説明するほど野暮なことはないとは思うのですが、以下、一応解説しておきます。
「シャトー」といえば、誰もがボルドーワインを思い浮かべ、なんとなく権威あるイメージを抱いているかと思いますが、「シャトー・ゴンフラーブル」とは、空気を入れてふくらませる、お城の形をした子供用の遊具です(例えばこんなの)。
そして「グラン・キュ・グラッセ」というナンセンスな一文入り。これは、ボルドー地方でシャトーの格付けを意味する「グラン・クリュ・クラッセ」を文字っていて、強いて訳せば「凍った偉大なるQ」とか…。っていうか、「キュ」を同じ発音の「cul」(お尻の意味)にしないだけでも良かった…。(でも音読みしたらフランス人にとってはやっぱり「冷たい大きなお尻」だろうなあ。)
瓶の形もボルドー風で、完全にボルドーワインをからかっている様子。揶揄の対象となっているのは、ボルドーワインそのものか、ボルドーワインばかり求める消費者か、ボルドーワイン的な味に画一化されるワイン界か…きっとボルドーワインに象徴されるそういったものすべてなのだと思いますが。
って、いやいや、もしかしたら、そんな深い意味はなく、ただ遊び心でつくったのかもしれません。

さてしかし、中身もボルドー風だったらどうしよう?(ボルドーは好きではないので)とちょっぴり不安を抱きつつ抜栓。
香りをとってみようとグラスに近づいてみたら…うわっ、これアルコール強いでしょ!?って、ラベルを確認してみると、なんと15度!(ワインは、だいたいにおいて11.5度から13.5度が普通です。)ちょっとおいてみた方が良いかな?ということで、いったん栓をし、アペリティフをとって、約2時間後にもう一度あけてみました。今度はだいぶ開いた感じで飲みやすい。
たしかにいちごジャム系の果実味は濃く、タンニンもしっかりあるはずなのですが、アルコールがまるみを出しているせいか渋くなく、酸味も控えめながら、どこかすっと入ってくるような軽さもあります。個人的には普段あまり重めのワインは飲まないのですが、好みでないタイプながらも、これは美味しく感じました。
夫いわく「イタリアワインみたい」。私はイタリアワインにはてんで疎く(白状しますと、ワイン学校でのイタリアワインの講義の間、隠れて別のテスト勉強していて聞いていなかった…)、イタリアのどの辺のワインのことかはよくわかりませんが、なんとなくイメージとして同感。今回、アペリティフでだいぶお腹がいっぱいになってしまったので、結局夕食はナスとパプリカのトマトソースをつけたパンとブレザオラをつまんで済ませたのですが、イタリアっぽいこの取り合わせがワインになかなか合いました。トマトソースの酸味をワインの甘みが包んでくれて、私としては目からウロコのマリアージュでした。

ちなみにブドウ品種はサンソー、マルスラン、カラドックだそうですが、後者二品種は聞いたことがありませんでした。調べてみたら、マルスランはカヴェルネ・ソーヴィニヨンとグルナッシュ・ノワールの交配種、カラドックはグルナッシュ・ノワールとコ(=マルベック)の交配種だそうです。どちらも、タンニンが多いのに苦みがなく柔らか、フルーティで色が濃いワインとなるのが特徴らしい。なるほど〜、たしかにそういうワインでした、これは。
ヴィンテージは明記されていませんが、多分2011年です。
牛肉のトマト煮込みとか、メルゲーズのクスクスなんかに合いそうです。

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